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micros - 刺繍 - 杉浦今日子 展 Kyoko Sugiura

2014/7/17(木)〜7/21(月)
(17、18日のみ20:00まで。19、20、21日の最終日も19:00まで。)



人間が太古の昔からしてきた『もの作り』。
時代や場所によって様々なものがつくられてきました。
その歴史の中で、ものをつくる人、『職人』が現れ、職人は技術を受け継ぎ、新しい技術を開発し、試行錯誤を重ね、また新たな職人に技術を伝えながら、もの作りへの探求心と誇りを守ってきたのです。

ヨーロッパの服飾の歴史を見ると、いかに多くの職人たちがそこにかかわっていたかがわかります。レースを作る人。刺繍をする人。ジュエリーを作る人。

レースは17世紀18世紀のヨーロッパで『糸の宝石』と呼ばれ、政治的な問題を起こすほど王侯貴族に愛された素材でした。1600年代前半に大流行したヴェネチアンレース。『グロ・ポワン(グロ=大きい)』と言われて愛された立体の大きなモチーフは、1600年代終盤にはフランスの職人達の飽くなき探求心によりつくられた、より細い糸で細かいデザインが編まれた繊細な『ポワン・ド・フランス』に取って代わられました。

ヴィクトリアンと呼ばれるイギリスのヴィクトリア女王が在位していた時代、南アフリカのダイヤモンドラッシュやオーストラリアのオパール鉱脈の発見、ロシアのガーネットの採掘などにより宝石が多く市場に現れ、金・銀に繊細な細工を施したジュエリーが、多く制作されました。より美しいカット。より美しい細工。職人の探求は飽くことなく、虫眼鏡で見ないと分からないほど細かい美しい細工がなされたジュエリーがこの時代に沢山生まれました。

刺繍もそうでした。より小さなポワン(ステッチ)で。より小さなビーズで。より繊細なデザインに、より美しいものを。
気の遠くなるような時間をかけて、職人たちが技術を注ぎ込んで生まれた小さく繊細な装飾品や宝飾品が、貴族たちに貴重なものとされ、愛用されてきたこと。それは彼らが時間と技術が生み出す価値を知っていたからなのでしょう。

時には肉眼では見えないほどのミクロの世界への職人の探求心は、美しいものへの追求と共に、自分への挑戦でもあります。小さなもので世界は変えられない。でもきっと、誰かがこれを手に取り、じっと眺めたときに、作り手がかけた時間と技術の重みが心に軌跡を残すと信じて。

作家は、日本でヨーロッパの刺繍技法、日本刺繍の技法を採り入れたクリエイションをし、2009年にフランスに渡ってからは、オートクチュール刺繍の技術を習得。現在はパリの刺繍工房にて世界第一線のオートクチュール・コレクションの仕事に携わりながら、針と糸を使った作家としての活動をしています。
今回は、ヨーロッパでつくられたヴィンテージのミクロビーズ、フランス製のヴィンテージの小さなスパンコール、日本の繊細な金・銀糸や絹の糸。いにしえの美しいミクロな素材と、クロッシェと針による刺繍でつくりあげた小さな世界をお届けします。


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